Go言語はGoogleが開発・公開しているプログラミング言語の 1 つです。
コード記述の簡潔さ・理解しやすさと、プログラム実行速度やリソース効率の両立を目指しています。
また、デザインパターンとは、様々なプログラムで再利用できる汎用的な設計パターンのことです。
この記事では一般的なデザインパターンではなく、Go言語らしい書き方やパターンについて紹介します。
Go 言語の入門内容については以下の記事を参照してください。
Go らしいコード
静的解析
ツール | 機能 |
---|---|
gofmt, goimports | フォーマッタ |
go vet, golint | チェッカ, リンタ |
gocode | コード補完 |
errcheck | エラー処理チェッカ |
VS Code などのエディタ・IDE を利用する場合は保存時などに勝手に実行されるものが多いが、以下のコマンドの実行は意識しておいたほうがよいでしょう。
go fmt
( =gofmt -w -l
)- VS Code ではコード保存時に勝手に実行してくれます
go vet ./...
golint ./...
- これは VS Code が教えてくれたりもしますが、コマンド叩くと一覧表示されるのでコマンドを併用してもいいでしょう
errcheck ./...
go get -u github.com/kisielk/errcheck
コメント
コメントは、記述されているものの名前で始まり、ピリオドで終わる必要があります。
// Request represents a request to run a command.
type Request struct { ...
// Encode writes the JSON encoding of req to w.
func Encode(w io.Writer, req *Request) { ...
Context
一連オンライントランザクション処理の流れなどで保持しておく必要のある値をコンテキストで管理します。(セキュリティ資格情報、トレース情報、期限、キャンセルのシグナルなど)
Contextを利用するほとんどの関数で一番最初の引数に指定して引き回します。
func F(ctx context.Context, /* other arguments */) {}
スライス
var t []string // Good
t := []string{} // Bad
前者は nil
スライスを返し、後者は非 nil
スライスを返却します。
どちらも cap
, len
ともにゼロですが、前者が優先スタイルです。
しかしJSONオブジェクトをエンコードするときなど理由がある場合は後者でも大丈夫です。
panic は使わない
通常のエラー処理に painc
を使用せず、エラーと複数の戻り値を使用しましょう。
エラーの文字列
エラー文字列は、通常、他のコンテキストに従って出力されるため、大文字にしません。
ただし、固有名詞や頭文字で始まる場合は大文字です。
// Bad
fmt.Errorf("Something bad")
// 通常はこのようにフォーマットされて出力される
fmt.Errorf("something bad")
log.Printf("Reading %s: %v", filename, err)
エラーハンドリング
関数の戻り値としてエラーが返ってくるときに、絶対に受け取り、処理をする必要があります。
本当に例外の時 のみ panicを利用しましょう。
また、エラーが発生したときは先にエラーハンドリングを書きましょう。
// Bad
if x, err := f(); err != nil {
// error handling
return
} else {
// use x
}
// Good
x, err := f()
if err != nil {
// error handling
return
}
// use x
ただし、エラーのみを返却する関数を実行する場合は「 err
変数の受け取りを複数回繰り返していると :=
だけで書けないという状況」に落ちいってしまうため、以下の記載を許容します。
// Good
if err := f(); err != nil {
// error handling
return
}
import
名前の衝突を避ける以外の目的でインポートの名前を変更しません。
衝突を避ける場合には、プロジェクト固有の名前にしましょう。
レシーバのタイプ
- ポインタレシーバを利用する場合
- メソッドがレシーバを変更する場合
- レシーバが
sync.Mutex
または同様の同期フィールドを含む構造体である場合(コピーを避けるため) - レシーバが大きな構造体または配列の場合
- レシーバが構造体、配列、またはスライスであり、その要素のいずれかが変化している可能性のある場合
- その他判断に迷う場合
- 値レシーバを利用する場合
- レシーバが map、func、または chan の場合
- レシーバがスライスであり、メソッドがスライスの再スライスまたは再割り当てを行わない場合
- レシーバが小さな配列または構造体の場合や可変フィールドとポインターがない場合、またはintやstringなどの単純な基本型である場合
参考
エラー処理
インターフェース
インターフェースまとめ
io.Reader
io.Writer
io.Closer
type Reader interface {
Read(p []byte) (n int, err error)
}
type Writer interface {
Write(p []byte) (n int, err error)
}
type Closer interface {
Close() error
}
type ReadWriter interface { // 埋め込み
Reader
Writer
}
type WriteCloser interface { // 埋め込み
Writer
Closer
}
channel
package main
import (
"fmt"
"time"
)
func add(c chan int, a, b int) {
// 疑似処理時間
time.Sleep(1*time.Second)
// 本処理
fmt.Printf("お仕事%d: %d + %d = %d\n", a/2, a, b, a+b)
c <- 0
}
func main() {
c, quit := make(chan int), make(chan int)
// お仕事の作成
nums := []int{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}
// お仕事の分配
for i := 0; i < 5; i++ {
go add(c, nums[2*i], nums[2*i+1])
}
sum := 0
for {
select {
case <-c:
sum++
if sum >= 5 {
close(quit)
}
case <-quit:
fmt.Println("お仕事おしまい。")
return
}
}
}
お仕事1: 2 + 3 = 5
お仕事2: 4 + 5 = 9
お仕事4: 8 + 9 = 17
お仕事0: 0 + 1 = 1
お仕事3: 6 + 7 = 13
お仕事おしまい。
sync.WaitGroup
を利用したら以下も同じ結果になります。
package main
import (
"fmt"
"time"
"sync"
)
func add(wg *sync.WaitGroup, a, b int) {
defer wg.Done()
// 疑似処理時間
time.Sleep(1*time.Second)
// 本処理
fmt.Printf("お仕事%d: %d + %d = %d\n", a/2, a, b, a+b)
}
func main() {
wg := new(sync.WaitGroup)
quit := make(chan int)
// お仕事の作成
nums := []int{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}
// お仕事の分配
wg.Add(5)
for i := 0; i < 5; i++ {
go add(wg, nums[2*i], nums[2*i+1])
}
// お仕事の終わり待ち
go func() {
wg.Wait()
close(quit)
}()
// お仕事終わり検知
select {
case <-quit:
fmt.Println("お仕事おしまい。")
return
}
}
その他パターン
設計単位
package trace
import (
"fmt"
"io"
)
// インターフェース
type Tracer interface {
Trace(...interface{})
}
// 構造体
type tracer struct {
out io.Writer
}
// メソッド
func (t *tracer) Trace(a ...interface{}) {
t.out.Write([]byte(fmt.Sprint(a...)))
t.out.Write([]byte("\n"))
}
// New
func New(w io.Writer) Tracer {
return &tracer{out: w}
}
なお、 interface
は必須ではありません。
小技
NoMethod イディオム
例えば、JSON上では時刻を「unixtime形式」で表現し、プログラム中では「time.Time型」として表現することで、プログラム中で時刻の比較や計算をしやすくしたい、といったケースがあったとします。
その際 encoding/json
パッケージには、 Marshaler
と Unmarshaler
インターフェースが用意されており、以下のようにカスタマイズの実装ができます。
// 対象の構造体
type Resource struct {
ID int64 `json:"id"`
Timestamp time.Time `json:"-"`
}
func (r *Resource) MarshalJSON() ([]byte, error) {
type Alias Resource
// `timestamp`についてはunixtime形式に変換
return json.Marshal(&struct {
*Alias
AliasTimestamp int64 `json:"timestamp"`
}{
Alias: (*Alias)(r),
AliasTimestamp: r.Timestamp.Unix(),
})
}
func (r *Resource) UnmarshalJSON(b []byte) error {
type Alias Resource
// JSONからデコード
aux := &struct {
*Alias
AliasTimestamp int64 `json:"timestamp"`
}{
Alias: (*Alias)(r),
}
if err := json.Unmarshal(b, &aux); err != nil {
return err
}
// `Timestamp`については`time.Time`型に変換
r.Timestamp = time.Unix(aux.AliasTimestamp, 0)
return nil
}
この時、たままたメソッド定義が被って Marshaler
と Unmarshaler
インターフェースに対応してしまっています( MarshalJSON()
/ UnmarshalJSON()
を実装してしまっている)が、上記のようなカスタマイズの実装を適用したくないとします。
その際は以下のようにメソッド定義の無い型として再定義することによって回避することができます。
type Resource struct{}
func (r *Resource) MarshalJSON() ([]byte, error) {
type NoMethod Resource // メソッド定義の無い型に再定義(中身は同じ)
r.MarshalJSON() // 行いたい処理(たまたまメソッド定義が被ってしまった処理)
raw := NoMethod(*r) // メソッド定義が無い型へキャスト
return json.Marshal(raw) // メソッド定義が無い型へキャストして渡したので、カスタマイズとして実行されない
}